身内や同居人の方が死亡されたら、死亡診断書を添えて市町村役場の戸籍係に死亡届を提出します。「戸籍法」には、死亡届の届出義務者、届出期間などが規定されています。死亡届が受理されませんと埋火葬許可証が出ないので、葬儀を行うためには早く届出が必要です。
第86条[届出期間・届出事項・添付書類]
第87条[届出義務者]
第88条[届出の場所]
第89条[事変による死亡の報告]
水難、火災その他の事変によって死亡した者がある場合には、その取調をした官庁又は公署は、死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。但し、外国又は法務省令で定める地域で死亡があったときは、死亡者の本籍地の市長村長に死亡の報告をしなければならない。
本籍地以外への届出
死亡者の本籍地でない役場に出すときは、2通出してください。(役所が適当と認めたときは、1通で足りることもあります。)2通の場合でも、死亡診断書は、原本1通と写し1通でさしつかえありません。
日本の国際化に伴い、日本人の海外での事故・病死が年々増大しています。また日本国内での外国人の死亡数も、東南アジアからの労働者、留学生などの増加により増え、平成11年度で5,670人となっています。こうした状況から、遺体や遺骨の本国返還するケースが増えることが予想されます。そこで海外での死亡、外国人の死亡の両方の法的手続きを取り上げてみました。
海外で死亡した日本人遺体を、本国へ返還する規則を取り上げました。以下の内容は、昭和32年4月、厚生省公衆衛生局長が外務省欧米局長に宛てた回答です。
<問>
<答>
昭和32年1月26日米合第317号をもって照会のあった標記の件のうち、当省関係事項である設問第1について、次のとおり関係法規(墓地、埋葬等に関する法律、墓地、埋葬等に関する法律施行規則)を添え、回答する。なお、設問第2以下は、墓地、埋葬等に関する法律事項以外のことであるから念のため申し添える。
記 埋葬許可は、死亡者の国籍の如何をとわず、本法施行地で死亡した場合、死亡地の市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)がこれを与えることとなっている。御照会のような事例については、現行法では特に規定が設けられていないので、法第7条の規定を準用して、原則的には遺体を空送する飛行機が最初に着陸した本法施行地の市町村長の許可を受けて埋葬するよう取り扱うことと致したい。
日本国内で外国人が死亡した場合、はじめに死亡者の遺族に遺体処置(火葬・土葬)の方法を確認します。遺族が国外にいる場合には、領事館等を通じて確認します。
遺体を国外に移送する場合、遺体をエンバーミング(防腐処置)して送り届ける場合があります。日本ではエンバーミングをする病院等が限られており、火葬を薦めています。エンバーミングをする場合、それを行う病院を領事館で紹介してもらう必要があります。エンバーミング処置や飛行機での遺体移送は、料金が高額なため、料金支払済みの書類が必要な場合もあります。
遺体を移送するためには、当然遺体を受け入れる国の規定に従います。領事館(大使館)で、遺体移送手続きに必要な書類を提出し、エンバーミング、通関手続き等を行います。
遺族に遺体処理方法を確認する。遺族が国外の場合には領事館、又は大使館を通して行います。
人が死亡したとき、死亡の種類が病死などの内因死(自然死)と、事故死や殺人死などの外因死では、法律上の扱いが異なってきます。
第2条[保健所長の許可]
第7条[遺族の承諾]
死体の解剖をしようとする者は、その遺族の承諾を受けなければならない。但し、左の各号のlに該当する場合においては、この限りでない。
第8条[監察医の検案・解剖]
第11条[犯罪に関係する異状の届出]
死体を解剖した者は、その死体について犯罪と関係のある異状があると認めたときは、24時間以内に、解剖をした地の警察署長に届け出なければならない。
第20条[死体取扱上の注意]
死体の解剖を行い、又はその全部若しくは1部を保存する者は、死体の取扱に当っては、特に礼意を失わないように注意しなければならない。食品衛生法
第28条[死体の解剖]
第1条(罪)
第1条は34項目ですが、特に関連ある2項を以下にあげました。左の各号の1に該当する者は、これを拘留または科料に処する。
18項)自己の占有する場所内に、老幼、不具もしくは傷病のため扶助を必要とする者又は、人の死体もしくは死胎のあることを知りながら、速やかにこれを公務員に申し出なかった者
19項)正当な理由がなくて変死体又は死胎の現場を変えた者
遺族保障には、国民年金には遺族基礎年金、厚生年金には遺族厚生年金があります。遺族基礎年金の場合は、子供(18歳未満)がいる場合、つまり母子家庭か孤児だけの場合にのみ遺族年金が支給されます。年金額は、母と子1人の場合、年額1,020,000円で、あとの子供の数に応じた加算があります。
遺族厚生年金を受給できるのは18才未満の子のある妻、18才未満の子供のない妻、55才以上の夫、父母、祖父母などです。
受給を受ける優先順位は配偶者、父母、孫、祖父母の順です。遺族厚生年金を受給する場合には、死亡した人の勤務先を受け持つ社会保険事務所に相談し、裁定請求を行って下さい。
37条[支給要件]
遺族基礎年金は、被保険者又は被保険者であった者が、次の各号のいずれかに該当する場合に、その者の妻又は子に支給する。(中略)
第37条の2[遺族の範囲]
遺族基礎年金を受けることができる妻又は子は、被保険者又は被保険者であった者の妻又は子であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、その者によって生計を維持し、かつ、次に掲げる要件に該当したものとする。
第38条[年金額]
遺族基礎年金の額は、79万2,100円とする。(平成21年度)
第39条[年金額]
妻に支給する遺族基礎年金の額
基本額は79万2,100円。これに子の数によって加算額がつき、子が2人までは一人につき年額22万7,900円、3人以上の場合には3人目から1人につき年額7万5,900円となっている。(平成21年度)
3項)妻に支給する遺族基礎年金については、第1項に規定する子が2人以上ある場合であって、その子のうち1人を除いた子の1人又は2人以上が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、その該当するに至った日の属する月の翌月から、その該当するに至った子の数に応じて、年金額を改定する。
子に支給する遺族基礎年金の額
79万2,100円を基本額とし、子が一人のときはその額、2人以上の場合は22万7,900円、3人以上のときは一人増すごとに7万5,900円を基本額に加算し、それを子供の数で割った額が支払われます。
第40条[失権]
第41条[支袷停止]
第58条[受給権者]
遺族厚生年金は、被保険者又は被保険者であった者が次の各号のいずれかに該当する場合に、その者の遺族に支給する。
第59条[遺族]
第59条の2[死亡の推定]
船舶が沈没し、転覆し、滅失し、もしくは行方不明となった際、現にその船舶に乗っていた被保険者もしくは被保険者であった者もしくは船舶に乗っていてその船舶の航行中に行方不明となった被保険者もしくは被保険者であった者の生死が3月間わからない場合、又はこれらの者の死亡が3月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合には、遺族厚生年金の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、もしくは行方不明となった日又はその者が行方不明となった日に、その者は、死亡したものと推定する。
(以下略)
第60条[年金額]
遺族厚生年金の額は、第43条1項の規定の例により計算した額の4分の3に相当する額とする。この場合において、第58条第1項第1号から第3号までのいずれかに該当することにより支給される遺族厚生年金については、その額の計算の基礎のとなる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300とする。
第62条
遺族厚生年金の受給権者である妻であって、その権利を取得した当時40歳以上65歳未満であったもの又は40歳に達した当時、当該被保険者もしくは被保険者であった者の子で、国民年金法第37条の3第1項に規定する要件に該当と生計を同じくしていたものが40歳以上65歳未満であるときは、第60条第1項第1号の遺族厚生年金の額に同法第38条に規定する遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額を加算する。
第63条[失権]
社会保険や厚生年金に加入していると、葬式をなさった方(遺族)に埋葬料(葬祭費)が支給されます。
社会保険では在職中、あるいは退職後3箇月以内の死亡なら、埋葬料として5万円が支給されます。家族が亡くなった場合被保険者に支給される「家族埋葬料」は5万円です。国民健康保険の場合には、自治体によって埋葬料・葬祭料などの名称も変わり、支給額も3~7万円と異なっています。受給の為には申告しなければ頂けませんので注意しましょう。
第100条[埋葬料]
被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、政令で定める金額を支給する。前項の規定により埋葬料の支給を受けるべき者がない場合においては、埋葬を行った者に対し、同項の金額の範囲内においてその埋葬に要した費用に相当する金額を支給する。
第113条[家族埋葬料]
被保険者の被扶養者が死亡したときは、家族埋葬料として、被保険者に対し、第100条第1項の政令で定める金額を支給する。
第136条[埋葬料]
日雇特例被保険者が死亡した場合において、その死亡の日の属する月の前2月間に通算して26日分以上若しくは当該月の前6月間に通算して78日分以上の保険料がその者について納付されているとき、その死亡の際その者が療養の給付若しくは保険外併用療養費、療養費若しくは訪問看護療養費の支給を受けていたとき、又はその死亡が療養の給付若しくは保険外併用療養費、療養費若しくは訪問看護療養費の支給を受けなくなった日後3月以内であったときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、第100条第1項の政令で定める金額の埋葬料を支給する。
前項の規定により埋葬料の支給を受けるべき者がない場合においては、埋葬を行った者に対し、同項の埋葬料の金額の範囲内においてその埋葬に要した費用に相当する金額を支給する。
第58条[その他の給付]
「生命保険」に関する規定は、商法の673条以下(683条まで)にあります。
生命保険は「死亡保険」「生存保険」「生死混合保険」に分類できます。「死亡保険」は、被保険者が死亡したときや、高度障害になったときに保険金が支払われ る保険です。「生存保険」は、被保険者が一定期間生存したときだけ保険金が支払わ れる保険です。「生死混合保険」は、被保険者が途中で死亡すると保険金が支払われ る死亡保険と、保険期間満了時に生存していた場合には、満期保険金が支払われると いう生存保険を組み合わせた保険です。
なお死亡や事故の原因が故意によるものや犯罪による場合、契約直後の自殺などの場合には保険金が受け取れないことがあります(第680条)。
第674条[他人の生命の保険]
第676条[同前-保険金受取人の死亡と再指定]
第679条[生命保険証券の記載事項]
生命保険証券には第649条第2項に掲げたる事項の外、以下の事項を記載することを要す
第680条[保険者の法定免責事由]
以下の場合においては保険者は保険金額を支払う責に任ぜず
第681条[保険契約者の通知義務]
保険契約者又は保険金額を受け取るべき者が、被保険者の死亡したることを知りたるときは、遅滞なく保険者に対してその通知を発することを要す
第682条[積立金払戻義務]
被保険者の為に積立たる金額を払い戻す義務は、2年を経過したるときは時効によりて消滅す
労働基準法は、労災を受けた労働者や遺族に対し、その生活を保障するために労災補償しなければならないと定めています。労災(業務災害・通勤災害)が発生した場合、それによる療養費、被災者や遺族の被扶養利益等の回復及びてん補を年金又は一時金の支給等の方法で行うため、労働基準署に対し、労災保険金の支払を請求し、支給される仕組みとなっています。
第1条[目的]
労働者災害補償保険は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、障害又は死亡に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行ない、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、適正な労働条件の確保等を図り、もって労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。
第2条の2[保険給付・労働福祉事業]
労働者災害補償保険は、第一条の目的を達成するため、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害又は死亡に関して保険給付を行うほか、労働福祉事業を行うことができる。
第3条[適用事業]
この法律においては、労働者を使用する事業を適用事業とする。
第7条[保険給付]
この法律による保険給付は、次に掲げる保険給付とする。
第12条の7[届出等]
保険給付を受ける権利を有する者は、労働省令で定めるところにより、政府に対して、保険給付に関し必要な労働省令で定める事項を届出、又は保険給付に関し必要な労働省令で定める書類その他の物件を提出しなればならない。
第12条の8[保険給付の種類]
第7条第1項第1号の業務災害に関する保険給付は、次に掲げる保険給付とする。
第16条[遺族補償給付]
遺族補償給付は、遺族補償年金又は遺族補償一時金とする。
第16条の2[遺族補償年金ー受給権者]
遺族補償年金を受けることが出来る遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとする。(以下略)
自動車の運転手は誰もが自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)又は、自動車損害賠償責任共済(自賠責共済)に入るわけことが義務づけられているわけですが、それを扱う法律が「自動車損害賠償保障法」です。この法律により加害者に対して損害賠償請求をすることが出来ますが、ひき逃げや無保険者などで加害者が不明の場合には、政府が被害者(遺族)に対して損害をてん補する「自動車損害賠償補償事業」があります。また任意の自動車保険(任意保険)とあいまって、被害者に対する救済に重要な役割を担っています。
第1条[この法律の目的]
この法律は、自動車の運行によって人の生命又は身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確立することにより、被害者の保護を図り、あわせて自動車運送の健全な発達に資することを目的とする。
第3条[自動車損害賠償責任]
自己のために自動車の運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、被害者又は運転者以外の第3者に故意又は過失があったこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったことを証明したときは、この限りでない。
第5条[責任保険の契約の締結強制]
自動車は、これについてこの法律で定める自動車損害賠償責任保険(以下「責任保険」という。)の契約が締結がされているものでなければ、運行の用に供してはならない。
第15条[保険金の請求]
彼保険者は、被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。
第16条[保険会社に対する損害賠償額の請求]
第17条[被害者に対する仮渡金]
第72条[自動車損害賠償保障事業]
第2条[保険金額]
第13条第1項の保険金額は、死亡した者又は傷害を受けた者1人につき、次のとおりとする。
第5条[保険会社の仮渡金の金額]
法第17条第1項の仮渡金の金額は、死亡した者又は傷害を受けた者1人につき、次のとおり
で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの
(以下略)とする。
見知らぬ者から暴力行為を受けて死亡した。ひき逃げされ死亡したが犯人がわからない。こうした犯罪行為によって死亡した場合には、加害者から金銭的な補償を得ることは不可能に近いのではないでしょうか。そこで昭和55年に制定された「犯罪被害者等給付金支給法」という法律では、こうした被害者や遺族に対して、国家が一時金を支給するものです。
第1条[主旨]
この法律は、人の生命又は身体を害する犯罪行為により、不慮の死をとげた者の遺族又は重傷害を受けた者に対し、国が犯罪被害者等給付金を支給することについて規定するものとする。
第2条[定義]
この法律において「犯罪被害」とは、日本国内又は日本国外にある日本船舶若しくは日本航空機内において行なわれた人の生命又は身体を害する罪に当たる行為による死亡又は重傷害をいう。
第3条[犯罪被害者等給付金の支給]
国は、犯罪被害を受けた者があるときは、この法律の定めるところにより、被害者又は遺族に対し、犯罪被害者等給付金を支給する。
第4条[犯罪被害者等給付金の種類等]
犯罪被害者給付金は、一時金とし、その種類は、次のとおりとする。
第5条[遺族の範囲及び順位]
第10条[裁定の申請]
「生活保護法」によって、国は生活に困窮するすべての国民に対し、必要な保護を行なうことになっています。保護の種類として、生活扶助や医療扶助の外、葬祭扶助も必要において行なうことになっています。この保護に該当する人は、扶養義務者又はその他の同居の親族の申請にもとづいて開始することになっていますが、保護を必要とする者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行なうことができるとされています。
第18条[葬祭扶助]
第20条[指揮及び監督機関]
この法律の施行について、厚生大臣は都道府県知事及び市町村長を、都道府県知事は市町村長を、指揮監督する。2都道府県知事は、この法律に定めるその職権の一部を、その管理に属する行政庁に委任することができる。
第21条[補助機関]
社会福祉事業法に定める社会福祉主事は、この法律の施行について、都道府県知事又は市町村長の事務の執行を補助するものとする。
第22条[民生委員の協力]
民生委員法に定める民生委員は、この法律の施行について、市長村長、福祉事務所長又は社会福祉主事の事務の執行に協力するものとする。
第37条[葬祭扶助の方法]
第76条[遺留金品の処分]
遺言書がなかったために起こるトラブルが増大し、それに比例するように遺言書の作成件数もふえています。遺言による指定は法定相続よりも優先されるため、法定相続ではカバーできないことを、自分の意思として明示することができます。遺言書を書く必要のある場合とは、特に次の場合が考えられます。
などがあげられます。いずれにしましても、素人が自己流に作成しますと、法的に無効になる場合がありますので、法律に従って作成しなければなりません。
第961条[遺言適齢]
満15歳に達した者は、遺言をすることができる。
第964条[包括遺贈・特定遺贈]
遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は1部を処分することができる。但し、慰留分に関する規定に違反することができない。
第967条[普通方式の種類]
遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってこれをしなければならない。但し、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。
第968条[自筆証書遺言]
第969条[公正証書遺言]
公正証書によって遺言をするには、以下の方式に従わなければならない。
第970条[秘密証書遺言]
第976条[死亡危急者の遺言]
第1004条[遺言書の検認・開封]
第1005条[遺言書の検認懈怠・不法開封の制裁]
前条の規定によって遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、5万円以下の過料に処せられる。
第1022条[遺言書の取消の自由・取消の方式]
遺言者は、何時でも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は1部を取消すことができる。
第1028条[遺留分権利者とその遺留分]
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、左の額を受ける。
相続人や相続の承認などの規定は「民法」がこれを扱い、相続税については「相続税法」で規定されています。民法の「相続」は6章あり、総則・相続人・相続の効力・相続の承認及び放棄・財産の分離・相続人の不存在がそれぞれの題目となっています。相続には、法律の規定に基づいて、相続人が知っているといないとにかかわらず効力を生じます。これを法定相続といいます。
第882条[相続開始原因]
相続は、死亡によつて開始する。
第883条[相続開始の場所]
相続は、被相続人の住所において開始する。
第884条[相続回復請求権]
相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知つた時から5年間これを行わないときは、時効によつて消滅する。相続開始の時から20年を経過したときも、同様である。
第886条[胎児の相続能力]
第889条[直系尊属・兄弟姉妹の相続権]
第890条[配偶者の相続権]
被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、前3条の規定によって相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。
第896条[相続の一般的効果]
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。但し、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
第898条[共同相続(1)相続財産の共有]
相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
第900条[法定相続分]
第906条[遺産分割の基準]
遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年令、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。
第907条[分割の実行]
第915条[承認・放棄の期間]
第920条[単純承認の効果]
相続人が単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を継承する。
第922条[限定承認の効果]
相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ、被相続人の債務および遺贈を弁済すべきことを留保して、承認することができる。
第923条[共同相続人の限定承認]
相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
第938条[放棄の方式]
相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
第951条[相続財産法人]
相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、これを法人とする。
第958条[相続人捜索の公告]
前条第一項の期間の満了後、なお、相続人のあることが明かでないときは、家庭裁判所は、管理人又は検察官の請求によつて、相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。但し、その期間は、6箇月を下ることができない。
第958条の3[特別縁故者への相続財産の分与]
第959条[相続財産の国庫帰属]
前条の規定によって処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。
相続税は財産所有者の死亡によって生ずる財産の転移に対して課せられる税金です。
納税義務者は相続または遺贈によって得た財産の総額から、被相続人の債務や葬式代、そして「非課税財産」(第12条)を引きます。
さらに相続税には基礎控除額というものがあり、平成6年1月1日より「5000万+法定相続人一人あたり1000万円」の範囲までは税金がかかりません。また、配偶者がいれば1億6000万円までは」税金がかかりません。
課税対象になるものは、土地、建物、預貯金・受益証券、有価証券、事業用財産、会員権、家財などがあります。申告期限は、平成8年1月1日以降は10カ月以内となっています。
第1条[相続税の納税義務者]
次に掲げる者は、この法律により、相続税を納める義務がある。
第11条[相続税の課税]
相続税は、本節に定めるところにより、相続又は遺贈により、財産を取得した者の被相続人から、これらの事由により財産を取得したすべての者に係わる相続税の総額を計算し、当該総額を基礎としてそれぞれこれらの事由により、財産を取得した者に係わる相続税額として計算した金額により、課する。
第12条[相続税の非課税財産]
次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。
第13条[債務控除]
相続又は遺贈により、財産を取得した者が、第1条第1号の規定に該当するものである場合においては、当該相続又は遺贈により取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から左に掲げるものの金額のうち、その者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。
第15条[遺産に係る基礎控除]
第19条の2[配偶者に対する相続税額の軽減]
被相続人の配偶者が当該相続人からの相続又は遺贈により財産を取得した場合には、当該配偶者については、第1号に掲げる金額から第2号に掲げる金額を控除した残額があるときは、当該残額をもってその納付すべき相続税額とし、第1号に掲げる金額が第2号に掲げる金額以下であるときは、その納付すべき相続税額は、ないものとする。
第27条[相続税の申告書]
…相続税額があるときは、その相続の開始を知った日の翌日から10月以内に課税価格、相続税額その他政令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
※申告期限については税法改正により年度ごとに異なるので注意を要します。
第38条[延納]
第41条[物納]
墓、祭壇、位牌などを民法では「祭祀財産」と呼んでいます。この祭祀財産は相続人の間で分割しますと、祖先の祭祀をするときに不都合を生じますので、相続財産とは別個に特定の1人に受け継がせることになっています。これを祭祀承継者といいます。祭祀財産を受け継ぐ人は、まず被相続人(故人)が、生前に指定していたのであれば問題ありません。次に被相続人による指定がなく、遺族の間での合意がない場合には、家庭裁判所の調停、もしくは審判によって決められることになっています。(民法897条2項)
第896条[相続の一般的効力]
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。但し、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
第897条[祭祀供用物の承継]
葬式は故人を宗教的・社会的に弔う大変重大な行事です。この行事が一部の不心得の者によって妨害されたりすると、葬儀全体の雰囲気が台無しとなり、また儀式進行そのものが阻害されることにもなりかねません。そこで法律では、葬儀を妨害したものに対し法律がそれを守ってくれています。
第188条 [礼拝所不敬、説教妨害]
神祠、仏堂、墓所その他礼拝所に対し、公然不敬の行為ありたる者は、6月以下の懲役、もしくは禁錮又は10万円以下の罰金に処す(注:公然の行為とは、不特定又は多数人の覚知しうる状態のもとにおける行為をいい、その行為当時、不特定又は多数人がその場に居合わせたことは必要ではない。) 説教、礼拝又は葬式を妨害したる者は、1年以下の懲役もしくは禁錮又は10万円以下の罰金に処す。
軽犯罪法第1条[罪]
以下の各号(全34項目)の1に該当する者は、これを拘留または科料に処する。
5項)公共の会堂、劇場、飲食店、ダンスホールその他公共の娯楽場において、入場者に対して、又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、飛行機その他公共の乗物の中で乗客に対して著しく粗野又は乱暴な言動で迷惑をかけた者
13項)公共の場所において多数の人に対して著しく粗野もしくは乱暴な言動で迷惑をかけ、又は威勢を示して汽車、電車、乗合自動車、船舶その他の公共の乗物、演劇その他の催しもしくは割当物資の配給を待ち、もしくはこれらの乗物もしくは催しの切符を買い、もしくは割当物資の配給に関する証票を得るため待つている公衆の列に割り込み、もしくはその列を乱した者
24項)公私の儀式に対して悪戯などでこれを妨害した者
26項)街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、もしくはこれをさせた者
28項)他人の進路に立ちふさがつて、もしくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず、又は不安もしくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者
「墓地、埋葬等に関する法律」はじめに墓地や埋葬の定義から述べられています。また最近話題になっています「散骨」に関しては、これまで「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない。」(第4条)、あるいは刑法190条の遺骨遺棄罪にあたるとして禁じられていましたが、法務省は、「社会的習俗として宗教的感情などを保護する目的だから、葬送のための祭祀で、節度をもって行われる限り問題はない」という見解を明らかにしました。
また納骨に関しては、「墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、埋葬、埋蔵、収蔵又は火葬の求めを受けたときは、正当の理由がなければこれを拒んではならない」(13条)があります。特に問題になるのは、納骨を拒否された場合ではないでしょうか。行政実例として、老人ホーム附属の納骨堂について、老人ホームに収容されている者以外の者の利用を拒否することは「正当の理由」として判断されています。また寺院墓地に他宗派の遺骨の埋蔵を依頼されたとき、寺院側がこれを拒否して、裁判で争われ、判決では埋蔵には宗教儀礼が伴い、埋蔵に際して寺院側は自派の典礼を施行する権利を持っているので、その権利をさしとめる権限は依頼者にはないという判断が下されました。
第1条[目的]
この法律は、墓地、納骨又は火葬場の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的とする。
第2条[定義]
第3条[24時間内の埋葬・火葬の禁止]
埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後24時間を経過した後でなければ、これを行ってはならない。但し、妊娠7箇月に満たない死産のときは、この限りでない。
第4条[墓地外の埋葬、火葬場外の火葬の禁止]
第5条[埋葬・火葬・改葬の許可]
第8条[許可証の交付]
市町村長が、第5条の規定により、埋葬、改葬又は火葬の許可を与えるときは、埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証を交付しなければならない。
第9条[市町村長の埋葬・火葬の義務]
第13条[管理者の応諾義務]
第14条[許可証のない埋葬等の禁止]
第1条墓地・埋葬等に関する法律
第5条第1項の規定により、市町村長の埋葬又は火葬の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を、同条第2項に規定する市町村長に提出しなければならない。
実際に死亡しているかどうか確認出来ない場合に、死亡したものとみなす法律があります。例えば行方不明になったまま、生死不明の状態が何年も続いた場合、残された相続人は、財産の相続ができませんので相続税の申告も不可能となります。こんな場合には、民法の失踪宣告をすることによって、失踪者は死亡したものとしてそれ以後の手続きを可能としています。
民法第30条[失踪宣告]
第31条[失踪宣告の効力]
前条第1項の規定により、失踪の宣告を受けたる者は、前条第1項の期間満了の時に死亡したるものと見做し、前条第2項の規定により、失踪の宣告を受けたる者は危難の去りたる時に死亡したるものと見做す。
第32条[失踪宣告の取消]
申立先は、申立人の住んでいる土地を管轄する家庭裁判所です。申し立てがあると、家庭裁判所では、この者の生死を知る者は届け出よという公示催告の公示をします。公示催告は、裁判所の掲示板に掲示し、同時に官報に掲載されます。
生死を知っている者が申し出る期間は一般の失踪の場合は6カ月以上、特別失踪の場合は2カ月以上の期間を置きます。この期間が過ぎると、家庭裁判所では失踪宣告の公告をし、その旨を本籍地の市町村長に通知します。
医科大学・歯科大学などでは、医学教育や研究のために多くの解剖用死体を必要としています。そこで国は、1983年に「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」を制定しています。献体をするには、書面で献体登録の申込みをします。申込みは、財団法人日本篤志献体協会に連絡すれば用紙を送ってもらえます。登録の申込み先は、医科大学(または大学医学部)、歯科大学(または大学歯学部)または、献体篤志団体などです。
法律では、本人の書面での申し出がある場合、必ずしも肉親の事前の同意を必要とはしませんが、献体登録の際に、肉親の同意の印をもらうのが普通となっています。また、実際には、本人が死亡したあと、家族の反対があれば、献体の実行はできなくなっています。従って登録するときには、家族の方の理解が必要となります。
献体と類似した制度に、アイバンクや、腎臓バンクなどがあります。いずれも献体とは違い、死後角膜や腎臓を他人に移植するというものです。
第1条[目的]
この法律は、献体に関して必要な事項を定めることにより、医学及び歯学の教育の向上に資することを目的とする。
第2条[定義]
この法律において「献体の意思」とは、自己の身体を死後医学又は歯学の教育として行なわれる身体の正常な構造を明らかにするための解剖(以下「正常解剖」という)の解剖体として提供することを希望することをいう。
第3条[献体の意思の尊重]
献体の意思は、尊重されなければならない。
第4条[献体に係る死体の解剖]
死亡した者が献体の意思を書面により表示しており、かつ、次の各号のいずれかに該当する場合においては、その死体の正常解剖を行なおうとする者は、死体解剖保存法(昭和24年法律第204号)第7条本文の規定にかかわらず、遺族の承諾を受けることを要しない。
第5条[引取者による死体の引渡し]
死亡した者が献体の意思を書面により表示しており、かつ、当該死亡した者に遺族がない場合においては、その死体の引取者は、学校長から医学又は歯学の教育のため引き渡しの要求があったときは、当該死体を引き渡すことができる。
第6条[記録の作成及び保存等]
第8条[国民の理解を深めるための措置]
国は、献体の意義について国民の理解を深めるため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
第3条[眼球又は腎臓の摘出]
第4条[摘出してはならない場合]
医師は変死体又は変死の疑いのある死体から、眼球又は腎臓を摘出してはならない。
個人の立場を尊重する立場から、植物状態にある患者などの「死ぬ権利」を認め、自らの意志で人間の尊厳を保ちながら死を選択することを「尊厳死」と名付けています。「尊厳死」の条件として、患者が自らの意志を明確に表明できる段階で、その旨を証拠として残すことが前提となります。平成2年1月、日本医師会の「生命倫理懇談会」は、条件つきで「がん告知」を積極的に推進する立場を取り、さらに患者の自己決定権に基づく「尊厳死」を事実上容認するところまで踏み込んでいます。しかし平成3年、神奈川県の東海大学病院の「安楽死」事件などにもあるように、「安楽死」問題はまだまださまざまな問題を抱えているようです。またこの事件をきっかけにして、「尊厳死協会」(東京都文京区)に入会する人が増大し、平成4年現在4万人を突破したといいます。
なお尊厳死協会が推進している「リビング・ウイル」(延命医療を拒否する意志を事前に宣言する書類)では、
の3点でしたが、脳死は、無酸素や障害により、脳が永久に機能を失った状態(不可逆的機能消失)を指します。
1985年(昭和60)12月、厚生省の「脳死に関する研究班」は次の基準を「脳死の判定」としました。
の6点です。
厚生省脳死判定基準(いわゆる竹内基準)は「前提条件」、「除外例」および「判定基準(判定のための諸検査)」で構成されています。
の4点です。
以下の患者に対しては、脳死の診断をしてはならないことになっています。
などの症例では、脳死と非常に紛らわしい状態になることもあるため、脳死の診断から除外する。
人間の臓器移植の中で、腎臓と目の角膜についてはすでに法律で移植が認められていました。そのため臓器移植法については、以前から医療関係者を中心に成立が望まれており、1994年4月に14名ほどの議員から国会に提出されていました。そして1997年6月17日に、「臓器移植時の場合のみ脳死を人の死とする」という臓器移植法案が国会で可決、成立しました。9月5日には、10月16日の法施行前に厚生省の運用指針案「臓器移植法の運用に関するガイドライン」が承認されました。
その骨子は、
一、臓器提供の意思表示は15歳以上。
一、臓器提供を承諾する遺族の範囲は配偶者と子、父母、孫、祖父母の直系二親等以内の親族および同居の親族とし、喪主が総意をまとめるのが適当
一、臓器提供の最初の数例は大学病院と日本救急医学会の指導医指定施設に限る。
一、臓器提供に伴う脳死判定の手続きなどの説明は臓器移植ネットワークのコーディネーターが行う。
一、死亡時刻は2回目の脳死判定終了時とする。
一、脳死移植は移植関係学会合同委員会が選定した施設に限定する。
一、検視が必要な脳死者は捜査機関の手続きが終わった後でなければ臓器を摘出してはならない。
とあります。